2014/12/26

Tractatus figurarum 譜例音源

先日書いたようにTractatus Figurarumには譜例が含まれている。Tractatus Figurarumは10冊強の写本に残されていて、その中で3冊は理論書本文に追加した譜例を含み、そのうち2冊は規模が小さい上にほとんど判読できないが、セビリャのものは判読可能かつ追加譜例も多い。ここではこのセビリャの譜例をまとめてみる。

説明もある程度加えてはあるが詳細なものではない。その代わりに音源を添えておく。音源を聞く際に常に気に留めておくべきなのは、それがどのMensurationを持っているのかということだ。そうでないとこれらはただのつまらない音源の羅列に過ぎない。下声部がどのような分割をしていて、それに対して上声部が如何にそれと違った揺らぎを発生させているのか、というところに注聞すべきだろう。それぞれの例のMensurationは譜例の番号の横に表示してある。

Mensurationは
perfect tempus / major prolation = 9/8
perfect tempus / minor prolation = 3/4
imperfect tempus / major prolation = 6/8
imperfect tempus / minor prolation = 2/4
とそれぞれ同じ。

音源を上げてあるサーバーの調子によって再生に時間が掛かる場合がある。しばらく待っても再生されない場合はページを更新してください。


1. (perfect tempus / major prolation)
 
Perfect tempus / major prolationなので B=3SB=9M です。空洞化したSB*3=SB*2 なので2B=6SB=9SB(空洞) です。


2. (perfect tempus / major prolation)
 
2B=3B (空洞)です。


3. (perfect tempus / major prolation)
 
ようはperfect tempusのBrevisを2分割できるということ。どういう理屈かは文章にすると分かりにくいので図を添付する。
この点の使い方はTractatus独特のもの。


4. (perfect tempus / major prolation)
 
理屈は1と同じ。


5. (perfect tempus / major prolation)
 
空洞化したdragma*3 = 4M なので、ここには16Mの長さがある。Perfect tempus / major prolationのBrevis2つは18Mの長さなので2M足りない。そこでdragmaを1つ足して合計18Mになる。


6. (perfect tempus / major prolation)
 
不完全Minima*4 = Minima*3 なのでこうなる。


7. (perfect tempus / major prolation)
 
これも文章だと説明が煩雑になるので図で説明する。
上の図によってMinima*7が確保されるのでそれにMinima*2と等しいdragmaを足して合計9minimaとなってBrevis1つ分の音価を確保している。


8. (perfect tempus / major prolation)
 
9つのminimaで構成されるBrevisを4分割できるということなのだが、これも文章だと説明が煩雑になるので図解する。
この点の使いかた、さらにそれを空洞化するというのはかなり特殊な例。空洞化された付点というのは実際の楽曲の中では発見されない。


9. (perfect tempus / major prolation)
 
MinimaとSemiminimaがくっついて1.5Minimaの音価なので、Minima9つ分のBrevisが6つに分割される。


10. (perfect tempus / major prolation)
 
空洞化したMinima3つで通常のMinima2つ分なので、12個の空洞化したMinimaが通常Minima8つ分。これ通常のMinimaを1つ足してBrevis1つ分になる。


11. (perfect tempus / major prolation)
 
9.と同様真ん中の2つがそれぞれ1.5minimaなので合わせてMinima3つ分になり、左右のSemibrevisと合わせてBrevis1つ分になる。


12. (perfect tempus / major prolation)
唯一計算が合わない例。よって音源もなし。


13. (imperfect tempus / major prolation)
 
Dragmaが2/3Smibrevisに相当してImperfect tempusのBrevisを3分割している。


14. (imperfect tempus / major prolation)
 
リズムとしては13と同じ。こちらは空洞化によってSemibrevisの音価を1/3減らしている。


15. (imperfect tempus / major prolation)
 


16. (perfect tempus / minor prolation)
 
Minimaが空洞化して音価を1/3失い、3つでSemibrevis1つ分の音価になっている。


17. (perfect tempus / minor prolation)
 
Semibrevisに点が付いて2つでBrevis1つ分になっている。


18. (perfect tempus / minor prolation)
 
15と同じ。


19. (imperfect tempus / minor prolation)
 


20. (imperfect tempus / minor prolation)
 
Minimaが空洞化して1/3音価を失うことで、それが6つで通常のMinima4つと等しくなっている。

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ちょっと音源作ってとか思って気楽に始めたらとんでもない作業量だった(笑
まとめを書く気力なし。でも実際に音を出してみたいと以前から思っていたのでちょうどよい機会だった。次は何かもっと気楽なもの、というか作業のいらないものを書こう・・・



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