昨日書いた記事のアルス・スブティリオルというキーワードで大学に通ってた頃のことを思い出した。音楽学部の学生だったので当然のことながら必修に音楽史の講義がある。グレゴリオ聖歌の辺りから近代に至るまで1年かけてその歴史の流れを見ていくわけだ。
当然その中には中世も含まれていて、アルス・ノヴァやアルス・スブティリオルにも触れる。スブティリオルの回になって、授業をしていた教授が極端に複雑なリズムの音楽が作られました的な説明を一通りした後に、例として Matteo da PerugiaのLe greygnour bienのCDをかけた。
まあこの曲はMatteoの中でも複雑なほう。しかもCantusがソロイスティックではなく、3声全体が複雑に絡み合っているのでスブティリオルの例としては適切ではあるのだけど、演奏が良く言えば非常に音価に忠実、悪く言えば機械的な演奏だった。まだ大学1年の頃で私も中世音楽にはほとんど触れたことがなく、はっきり言って意味不明な音楽だった。
たまたまその時に隣に座っていたピアノ科の女の子2人が辺りに聞こえないように囁き合っていたのが聞こえてしまったのだが、それを今でも忘れられない。声の主やその顔すら思い出せないけど、かなり正確にその声まで頭の中で再生できる。
「ねえ、これ、合ってないよね!?」
古楽科一期生としてはここぞとばかり「ふぅ、これだからモダンの人は・・・」的な表情を誰に向けるでもなくしていたが内心、
「そうだよね! これ合ってないよね! 」
って思ってました。ごめんなさい!(笑
それがいつの間にか実際にこの Le greygnour bienをコンサートで演奏したりするようになりました。何があるか分からないものですね(笑
ま、今回も思い出話は1つずつということでこの辺で:)
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