ある日、チェンバロのYさんとどこかのコンサートだったのかなんなのか、とにかく偶然アカデミアミュージックの近所を通ったので寄っていこうという話になり立ち寄った。実のところ、その時初めてアカデミアに足を運んで、その後一度も行っていない。
アカデミアに入ると楽譜が棚に大量に並んでいた。その頃にはもう中世に関心が向いていて、相対的にSPES出版のバロックのファクシミリに対する興味が薄らいでいたので、あまりガツガツ棚を閲覧することも無く、店の隅に置かれた段ボール箱に乱雑に放り込まれたセール品を眺めようと近づいた。
ダンボールに放り込まれていた楽譜は、棚に並んでいるものとは明らかに扱いが違いかなり雑に扱われていた。右から左から乱暴に突っ込まれているので、どの本も角が丸くボロボロになっていた。近い将来にその箱ごとゴミに出されるような、そんな雰囲気だった。そのダンボール箱のなかに一際分厚い本が入っていたので手にとって開いてみた。
既に定量記譜法を勉強してあったので、そこにあるのが14世紀の黒譜定量記譜法であることはすぐに分かった。あれ!?これファクシミリだぞ。と内心色めきたった。それまで、中世のファクシミリといえば超豪華な Squarcialupi写本のものしか見たことがなかったので(40万円位する)、なんだこの雑な扱いは、という驚きもあった。
しかし、折角めぐり合ったのだから、どうせ買えないけれど値段を見るだけならタダなわけでとりあえず値段を確認しようと、値段がどこに書いてあるのか、見当たりそうなところをめくってみた。中表紙の1ページ前に値段が書いてあった。その写真がこれ。
¥9,700
えーっ!!!!!
売れないからっていきなり半額。それでもまだ売れないから、それをさらに半額近くにしている(笑
どんだけ需要が無いのよ中世音楽(笑
きっとここまで値下げしても誰も買わないからダンボール箱に雑に放り込まれていたのでしょう。持ち合わせが無かったので一緒に居たYさんに、店を出たらすぐ貯金下ろして返すから1万円貸して下さい、とお願いして即買いました。
今も私の背後の本棚で他のファクシミリと一緒に鎮座なさっております。
0 件のコメント:
コメントを投稿